あなたの理想の一台に
出会うために

福井ともみ×ヤマハ<リニューアルピアノ>
福井ともみ(ジャズピアニスト/作曲家/編曲家)
飛田泰一(ヤマハピアノサービス株式会社 営業推進部)

技術者さんのプライドを感じる

 

── 今回、初めて<リニューアルピアノ>を実際に弾かれてみた印象はどうだったでしょう。ここは忖度なしでお願いします(笑)。

最初に弾かせていただいたのは整備済みの b113 でしたけれど、音の粒立ち感、鍵盤やペダルのタッチなど、すごく良く整備されていて、それこそ新品と変わらないな、という印象を持ちました。b113 はコンパクトですけれど、ピアニシモからフォルテまできっちり表現することができるピアノです。ただそのためには、このタッチならこの音量、ラウドペダルを踏み込んだらどのくらい音が伸びるかって、鍵盤やペダルが演奏者の意図通りにきっちり動作してくれなくてはいけません。
演奏者の技量にピアノがきちんと応えてくれる、この感覚を使い込まれたピアノで得るには、本当にきちんと整備されていないと難しくて、ライブハウスなんかでも「あれ?」って思うことがしばしばあるんです。鍵盤の沈む感覚が場所によって違ったり、ペダルを踏んでも思ったほど音が伸びてくれないとか。

── たしかにリニューアルピアノに触れられた時、福井さんが最初にすごく念入りに鍵盤、ペダルのフィーリングをチェックされていたのが印象的でした。

ライブハウスなどでもリハーサルの際にまずチェックするのはそこです。
このピアノの素性はどうなのか、私の演奏意図にどれくらいちゃんと応えてくれるのかなって。コンサートホールなどはきちんと整備されていますけれど、ライブハウスとかになると時々「?」ってピアノに出会うこともあるわけです。応急にできることはやったとしても、完璧な状態にはならない。でもプロとしてそれで弾かなくちゃいけないわけですから、いつもより深く踏み込めばこの音が出る、この鍵盤だけは戻りが遅いからこう弾こうとか、あるいはそこを使わないでできるか、といったことを本番までにきっちり対応していく必要があるんです。
 

── どんなピアノでも演奏対応力でカバーする。一般の観客には分からないプロの凄さですね。

でも理想はちゃんと大事に整備されているピアノで、ストレスを感じないで演奏すること。だからライブ終わりにお店のオーナーに「ピアノ大事にしましょうね」って優しくチクリと伝えることもあります(笑)。

── 修理の現場である工房も見学していただきましたが、どんな感想をお持ちですか?

b113 を弾いた時、「あっ、これは相当な腕の技術者さんが整備されたんだろうな」って思いましたが、工房を見てそれを再確認したって感じです。一人ひとりブースに分かれていて、技術者の方が一台のピアノを外装から中の可動部品まですべてを担当される。流れ作業の工場とは違って、一人が責任を持って一台のピアノに向き合っている。職人魂みたいなものを感じる現場でしたね。
実際、各<リニューアルピアノ>には整備表がついていて、誰が担当したかっていう技術者の名前が記されているんですよね。おそらく技術者さんにとっては担当された一台一台が作品なんだと思うし、その印は自信を持って送り出している証。職人のプライドみたいなものじゃないかしら。

 
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